「何度言っても勉強しないから、やる気を出すためにご褒美をあげたけど、本当によかったのかな」
こんなことを思ったことはありませんか?
保護者の方からよく聞くのが、ご褒美で釣って勉強させてるという発言です。
使い方にも左右されるのですが、実はこのご褒美、長期的にみると勉強しない子に育ってしまう可能性を高めてしまいます。
今回は、
- なぜご褒美が良くないのか
- ご褒美をあげてもいい場面
- ご褒美をあげる場合の注意点
以上の3点について解説していきます。
ご褒美が子供のやる気を奪う
早速ですが、質問です。
子供たちに積み木を使って家を作ってもらうことにしました。
最初のグループには、「上手に作れたらご褒美をあげるよ」と伝え、
2番目のグループには「ご褒美のことは伝えず、家を作り終わったあとご褒美をあげた」
3番目のグループには「ご褒美をあげなかった」
数週間後、また同じお題を出して積み木を渡しました。
さて、一番頑張って積み木で家を作ったのはどのグループでしょうか。
あなたは何番目のグループを選びましたか?
結果は、
2,3番目のグループは前回同様に積み木の家を作ったのに対し、1番目のグループの子達は積み木に興味を示さなくなったそうです。
これは少しアレンジしていますが心理学者であるリチャード・E・ニスベットらの有名な実験の一例です。
この実験からわかることは、ご褒美で釣ってやらせた行動に対しては、ご褒美がなくなった途端やる気を失ってしまうということです。
原因は、ご褒美をあげることにより頭の中で「その行動をする=ご褒美がもらえる」と結びついてしまうからです。
そうなると、前提条件であるご褒美がなくなった途端にその行動をする必要がなくなってしまいます。
そして、勉強へのご褒美だけ、このパターンと違うなんてことはありません。
基本的に勉強のやる気を出させるためにあげているご褒美は多くの場合、逆効果であり余計に子供から勉強へのやる気を奪っていると言えます。

ご褒美を上げる場合の注意点
しかし、どうしても勉強しないからご褒美をあげて釣るしかないという方もいるでしょう。
現実問題として「勉強したくない」というお子さんに勉強するきっかけを与えることも必要です。
その場合は、以下の2つを守ってご褒美をあげるようにしてください。
ご褒美は勉強の成果ではなく行動に対してあげるべき
よく聞くのが、「テストでいい点数をとったらゲームを買ってあげる」の様なご褒美ですが、実はこのご褒美のあげ方は間違っています。
ハーバード大学の研究で、
1. 本を読んだり勉強をしたりすることに対してご褒美をあげた家庭と
2. テストや通知表の結果に対してご褒美をあげた家庭
の2種類を比較したところ、1つめの行動に対してご褒美をあげた家庭の方が学力が向上していたという結果が得られています。
これは、結果だけに注目してしまうと勉強自体に興味が向かないからだと言えます。
テストの良かった、悪かっただけで評価されると、その場での反省はあるでしょうが頑張った割にご褒美がもらえなかった。勉強はコスパが悪い。というような思考に陥ってしまいがちです。
とはいえ、勉強したら毎回ご褒美というようなことをしてしまうと、頭に「勉強=ご褒美をもらう」とインプットされてしまい、ご褒美がなくなると勉強をしなくなってしまうので注意が必要です。
どうしてもご褒美を上げたいときはサプライズで
ご褒美はもらえたら嬉しいものですし、やる気を引き出す側面があることは否定できません。
しかし、その弊害として勉強=ご褒美と結びついてしまうことが1番のリスクです。
では、勉強とご褒美を結び付けないためにはどうすればいいのか。
それは、ご褒美をあげるときはサプライズにするということです。
たまにご褒美がもらえる程度であれば、ご褒美と勉強が結びつくことはありませんし、勉強するのは偉いことなのだと勉強自体の価値をあげることができます。
勉強へのご褒美には注意が必要です
ご褒美に対して反対のスタンスで話してきましたが、ハーバード大学の研究によると、あげ方さえ間違えなければ成績向上に繋がるというデータも出ています。
正しいご褒美のあげかたについては前述しましたが、やはりどうしてもご褒美があるとご褒美ありきのモチベーションになってしまうため、基本的にはご褒美で釣るのではなく内部動機を刺激してあげることの方が大切です。
ただしその分、頑張ったときには全力で褒めてあげて下さい!
それがきっと子供にとっての最高のご褒美になりますよ。
- 基本的に自発的動機を損なうご褒美はあげない
- ご褒美を上げる時は成果に対してではなく行動に対して
- ご褒美をあげるのはサプライズが基本